夏茶生産対策(平成16年度)

 今年の一番茶は,園相も良く大きな期待がかけられていましたが,始まってみると畝の南北側に生育差が生じた茶園や,芽数が少なく全体的に芽が不揃いで収量が少ないという産地が見られました。要因としては,昨年11月の暖秋,2月の乾燥・低温,3・4月上旬の寒害等が影響したものと思われます。荒茶品質は生産者の努力により良質なものが多く生産されましたが,市況は前半は前年並みの堅調相場で経過したものの,後半は特に良質茶が割安感で推移したことから,遅場の良質茶生産を目指す産地にとっては厳しい年となりました。
 夏茶は一番茶への配合やドリンク需要に期待が寄せられていますので,品質本位の生産が望まれます。

一番茶生産の反省

 今年の一番茶は,予想に反して早場所を除いて収量が出ないという結果になりました。

夏茶生産対策

1.夏茶生産の留意点

(1)良質夏茶の生産 
 ① 上下の価格差は大きいものがあると予想される。→品質本位の生産一番茶に配合可能な品質確保
 ② 可能な限り被覆し,芽格・色沢・水色  三拍子揃った夏茶生産を。
 ③ 二番茶は増産の可能性があるので早めの対応を。
(2)欠陥・欠点茶を作らない
 ① 気温・湿度ともに高い時期で,特に梅雨時期も挟む。
   生葉管理の徹底,摘採から製造をスムーズに
 ② 水色の赤みの改善
   水色の赤みは価格への影響が大きい。
 ③ 乾燥を十分に
   特に梅雨時期や頭などの出物は注意が必要
 ④ 煙臭等出さぬようにこまめに掃除を。操業中は特に注意すること。
(3)園相づくりを考えた葉層の確保
 ① 樹勢の強い揃った秋芽を作るためには,一節上げて葉層の確保を
 ② 目標とする来年の一番茶の芽数
 ・芽重を確保するための園づくりも考慮して摘採
 ・整枝を行う。

2.これからの夏茶管理

(1)二回整枝の実施各茶期の芽の揃いを良くし,品質確保の面からは重要な作業
(平年の場合)

 ・萌芽してくる芽を切らないように整枝の高さには十分注意する。
 ・気温が上がると,各茶期間の日数は短縮されるので注意する。
(2)施 肥 ・各地区の施肥設計に基づいて,摘採後できるだけ早く施肥する
 ・環境に配慮した施肥が求められているので,適正施肥に努める。
(3)病害虫防除
 ・各地区の防除暦に基づいて,適期防除に努める。
 ・安全使用期間の厳守
   安全使用期間に十分注意して,確認の上防除する。
 ・網もち病の多発茶園は葉層回復を
   昨年網もち病の多発した茶園では,一番茶後中切り・深刈りをして伝染源
   となる病葉を切除する。
 ・ハマキ天敵の利用
   希釈倍数が2000倍で散布(今年4月に登録が1000倍~2000倍になった)
   防除適期を必ず守る。各地区の技連会が出す発生予察を十分参考に
 ・クワシロカイガラムシは発生孵化時期を確実に把握してから防除する。
   茶園ごとに発生時期が異なるので,農協・普及センターに見てもらう。
(4)被覆による品質向上
 ・日数 4~5日 (直接被覆)
 ・被覆の開始時期を間違わないように(摘採遅れはかえってマイナス)
 ・二番茶(梅雨時期)期は,高温多湿になるため黒葉腐れ病が発生する場合
  があるので注意する。
 ・樹勢の弱い園では被覆は行わない。
(5)摘 採
 ・適期摘採で良質生葉の確保
    夏茶は気温が高く,早く硬葉になりやすい。摘採適期が短いので注意する。
    二番茶は梅雨時期と重なるので摘採遅れにならないように注意する。
 ・摘採機の摘採スピードと回転数の調整及び刃の調整
    生葉の2度切りやささくれは水赤の大きな原因になる。
 ・計画摘採と適切な生葉管理で鮮度保持
    葉傷みは水色が赤くなり,品質低下が著しい。
(6)中切り更新による樹勢回復
 ・時期 できるだけ早い一番茶後が望ましい。
 ・中切り後の整剪枝
    第1回目  中切りより55~60日目頃  中切り位置より  3㎝上げて
    第2回目  8月上中旬          前回より     3~4㎝上げて
    秋整枝   10月上中旬          前回より     4~5㎝上げて
 ・二番茶まで摘採する場合は,摘採直後深刈りを行う。
 ・中切り後の萌芽から生育初期を重点に,ウンカ・スリップス・炭疽病等早めの防除を行う。
 ・中切りした年は断根を伴う強い深耕はしない。

3.夏茶製造のポイント

(1)一般的製造
 ①蒸 熱
  ・生葉形質を考慮して蒸す。
  ・夏茶は組織が硬く,大形,色沢の黒みになりやすい(一番茶より5秒程度長く)。
  ・蒸し機の胴回転数は一番茶より遅く(5回程度),逆に攪拌軸は早く(50回)する。
  ・蒸熱の後に蒸葉処理機を設置した工場では,熱風温度に注意する。
   熱風温度が高すぎると葉緑素の熱変成が起き,色を悪くする。
 ②粗 揉
  ・茶温は35~36℃が適当
  ・揉み手バネ圧・・・一番茶より0.5kg程度強める。
  ・熱風温度,風量に十分注意する。晴天日には少なく,雨天日には多めとする。
 ③揉 捻
  ・一番茶に比べ,原料が硬くなっているので,加重をかけ十分揉み込む。
   ただし,一番茶並に時間をかけると水赤になったり苦渋味が強くなるので注意する。
 ④中 揉
  ・茶温は36℃が適当
  ・バネ圧,回転・・・夏茶は容積重が軽いのでバネ圧は一番茶より弱く,回転は遅くする。
  ・排気温度,風量に十分注意し,上乾きをさせない。
   中揉機は外気の影響を受けやすいので給気湿度に応じ風量調整をする。
 ⑤精 揉
  ・茶温(投入10分後)は,43℃程度が適当
  ・温度を上げて無理に能率を上げると,「むれ」「色沢の褐変」が生じ,
   品質低下になる。
 ⑥乾 燥
  ・乾燥時間は長く,十分に
  ・乾燥不足が市場で指摘が多い。頭などの出物は必ず再乾燥を。
  ・精揉の早出し,深蒸し茶は乾燥不足になりやすい。
  ・風量は一番茶に比べて多めとする。

(2)濡れ葉製造の留意点夏茶,特に二番茶は梅雨時期と重なり,濡れ葉での製造の機会も多くなる。無理して濡れ葉で製造する必要はないが,やむを得ない状況もあるので次の点に留意して製造する。
 ①生葉取り扱い
  ・付着水が多い場合には,脱水機にかけてできるだけ早く蒸す。
  ・生葉管理装置には詰め過ぎない。濡れ葉の状態では,嫌気状態になり異臭
   (キャバロン臭)が発生する。連続送風時間を長くする。
 ②蒸 熱
  ・濡れ葉は蒸機への投入量を付着水分に応じ調整する。重量換算で付着水の分だけ投入量を増やし,投入量の増加分だけ蒸気量を増やす。
 ③葉打・粗揉
  ・葉打機の熱風発生機に余裕があれば,投入量を付着水の分だけ増やす。
  ・付着水が取れるまでは最大風量とする。
  ・空気湿度が高まる時期は全体に茶温が高くなりやすい。
   茶温に注意し,熱風温度を上げずに風量を増やす必要がある。
 ④中 揉
  ・外気の影響を最も受けやすい工程であるので,雨の日は風量を増やす必要がある。
 ⑤乾 燥
  ・雨の日は乾燥不足になりやすいので,風量,乾燥時間を増やす。

(3)欠点茶,欠陥茶を製造しない
 ①水色が赤い
  ・原因・・・ア,摘採機の刃が切れない。
        イ,摘採から製造まで時間がかかる。
        ウ,製造中の高温(粗揉,中揉,精揉,乾燥)
        エ,茶工場の清掃不足
 ②ササ色
  ・原因・・・ア,硬葉混入による不揃い
        イ,蒸し不足
        ウ,風量が多く上乾き(粗揉,中揉)
 ③煙 臭
  ・中揉,乾燥機の火炉の掃除はこまめに一日数回
 ④乾燥不足
  ・茶市場で最も指摘が多い。乾燥は十分時間をかけて
  ・頭等の出物は必ず二度乾燥をする

生産履歴の記帳管理

 昨年の3月1日から始まった生産履歴管理の記帳は,一年間で6千件を越える開示請求があり,そのほとんどはかごしま茶の有利販売・安全証明のためのもので消費者や問屋の安全に対する要望がかなり強いことを伺わせました。今年もこの要求は変わらないものと思われますので更に確実な取り組みにしなければなりません。情報開示請求に即,答えることができるように記録の正確な記帳と整理が必要です。

(1)病害虫防除で留意すべき事項
 ①農薬使用基準を守る。
  農薬を使うときにラベルをみて,使用法を確実に守る。また,台帳への記入漏れ,記入ミスがないよいに注意する。
 ②摘採前安全日数の確認
  病害虫の発生が多くなる夏茶では,摘採前の農薬安全使用日数が十分確保できているか,かならず確認する。
 ③飛散防止
  隣接園等への薬剤の飛散防止を徹底する。
  隣接の他作物からの飛散にも注意する。
 ④ハマキ天敵の活用
  鹿児島が全国に誇れるハマキ天敵利用を基幹とした総合防除体制の維持・強化

(2)茶市場3チェック運動を徹底する
 ・信頼されるお茶づくりのために次の項目を必ずチェックする

乾燥の徹底 配合の徹底 異物混入の一掃
さらに,個人や産地の信頼を失わないために次のことも徹底する

委託申込書の生産履歴確認の記入
品種別の確実な記入
煙臭等の欠陥茶の一掃