
荒茶生産量全国2位の鹿児島県。ここでは鹿児島茶業の歴史や由来、特徴を見てみよう。
- 1. 鹿児島茶業の歴史とあゆみ
- 2. 茶の生産地としての鹿児島
- 3. 鹿児島茶業の特徴
- 3.1. 生産量は全国第2位!
- 3.2. 日本一早い茶の産地!
- 3.3. 一番茶から秋冬番茶までの幅広い生産!
- 3.4. 栽培品種のバランスのいい組み合わせ!
- 3.5. 多種多様な茶づくり!
- 3.6. 平坦地茶園率が高い!
- 3.7. 乗用型摘採機の利用率が高い!
- 3.8. 経営の大規模化・法人化が進展
- 3.9. クリーンなかごしま茶づくり運動の推進
- 3.10. かごしま茶の安全・安心・信頼システム
- 3.11. 「かごしま茶基礎GAP」の取り組み
- 3.12. 茶の振興体制(組織)が確立している!
- 3.13. 全国茶品評会 連続第1位受賞!
- 4. 今後の鹿児島茶業の発展と展望
鹿児島茶業の歴史とあゆみ
鹿児島県の茶業は今からおよそ800年前、金峰町阿多・白川に平家の落人が伝えたという説や、足利時代に吉松町の般若寺に宇治から茶種子を取り寄せ播いたのがはじまりという説、野田町の感應禅寺説などがあります。
その後は島津藩政時代に奨励されましたが、本格的な茶の栽培や生産の奨励は第二次大戦後にすすめられ、また今日の茶産地づくりをめざした積極的な茶業振興施策は昭和40年頃と、静岡県や京都府など他県の茶業と比べると最近からとなります。
茶の生産地としての鹿児島
鹿児島県は、静岡や京都と比べて茶業の歴史は浅いものの、現在は荒茶生産量が静岡に次ぐ国内第二位となっており、日本有数の茶の生産地となっています。中でも特に、南九州市の知覧や頴娃(えい)町、霧島市の溝辺が茶の栽培地として有名ですが、大隅半島の志布志市や本土から離れた西之表市(種子島)などでも栽培され、県内全域にわたって茶業が営まれています。
また、鹿児島県は、平坦地茶園率が高いため機械による効率化が進んでいること、温暖な気候を利用して年中様々な品種を育てていること、なども生産性を上げている要因となっています。

鹿児島茶業の特徴
生産量は全国第2位!
荒茶生産量は28,000t(令和元年度)

※農林水産省「茶統計年報」による。
※都道県別積み上げ値と全国値とはラウンドの関係で一致しない場合がある。
※H12年以降は主要県のみの調査で、全国計は主要県値とその他の県の推計値の合計。
日本一早い茶の産地!
南国の暖かい気候を利用して4月上旬から始まる新茶は、日本一早い新茶として有名です。
走り新茶として西之表市・南種子町より3月末ごろから入荷が始まっております。

一番茶から秋冬番茶までの幅広い生産!
機械化等による低コスト化により、一・二番茶だけでなく三・四番茶、秋冬番茶まで幅広く生産しています。特に三番茶以降の生産量は全国の約40%を占めます。
鹿児島県茶期別荒茶生産量(令和元年)[t] | |
---|---|
一番茶 | 8,270 |
二番茶 | 7,260 |
三番茶 | 4,610 |
四番・秋番茶 | 7,892 |
栽培品種のバランスのいい組み合わせ!
全国で栽培される茶の約7割が「やぶきた」ですが、鹿児島県では、約1/3程度にとどまり、その他多様な品種が栽培されており、消費者ニーズに対応した荒茶の生産・仕上げ茶の生産が可能となっています。
栽培品種の構成

多種多様な茶づくり!
近年の抹茶の用途拡大等を背景に、国内外で抹茶の需要が高まっており、本県でも抹茶の原料となる「てん茶」の生産が拡大しています。
てん茶工場数 及び 生産量
H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R元 | |
---|---|---|---|---|---|---|
工場数 | 3 | 5 | 6 | 12 | 13 | 14 |
生産量 [t] | 50 | 50 | 275 | 489 | 754 | 1,210 |
平坦地茶園率が高い!
平坦茶園率(傾斜度0~5度の茶園割合) | |
---|---|
鹿児島 | 99.6% |
全国平均 | 52.3% |
乗用型摘採機の利用率が高い!
鹿児島県の茶園は平坦な地が多いことから機械化を進めやすく、茶畑の管理作業の省力化・低コスト化を実現しています。

導入面積 [ha] | 導入台数 [台] | 導入面積率 [%] | |
---|---|---|---|
鹿児島 | 8,191 | 1,413 | 97.5 |
静岡県 | 10,461 | 3,547 | 65.8 |
全国 | 24,508 | 7,026 | 60.4 |
経営の大規模化・法人化が進展
平成19年 | 平成22年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
法人工場数 | 187 | 188 | 187 | 187 | 187 | 192 | 194 |
全工場数 | 657 | 602 | 525 | 506 | 491 | 476 | 469 |
法人化率 | 28.5% | 31.2% | 35.6% | 37.0% | 38.1% | 40.3% | 41.4% |
クリーンなかごしま茶づくり運動の推進
平成5年から関係機関・団体一体となって取り組んでいます。
かごしま茶の安全・安心・信頼システム
平成15年より、生産・加工・流通等の各段階で生産履歴情報を追跡できるようにするため、クリーンなかごしま茶づくり推進本部を中心に「お茶の生産履歴」を明らかにし、消費者に情報を開示しております。
「かごしま茶基礎GAP」の取り組み
平成20年より、 生産者自らが、農産物の安全性の確保、環境の保全、品質の向上、労働安全の確保等を達成するとともに、「かごしま茶」に対する消費者の信頼性をより高めるため、安心と安全品質向上等に関する茶生産工程の管理基準「かごしま茶基礎GAP」を制定し、取り組みを開始しました。
茶の振興体制(組織)が確立している!
生産者団体、茶商、農協、行政、普及、試験研究などの組織が一体となった取り組みを実施しています。
全国茶品評会 連続第1位受賞!
全国茶品評会「普通煎茶10kgの部」において、優れた市町村に授与される産地賞の17連続受賞や、農林水産大臣賞などの特別賞を多数受賞しています。
今後の鹿児島茶業の発展と展望
鹿児島における茶業の発展は躍進がめざましく、現在では全国第二位の生産県になりました。
さらに近年はより消費者の健康や環境への意識が高まり、安心・安全なお茶の生産と、環境に配慮した茶づくりが求められ、21世紀は「クリーンなかごしま茶の時代」到来と注目され期待が高まっています。
クリーンな「かごしま茶」づくり事業について、詳しくは以下のリンク先ページをご覧ください。
クリーンな「かごしま茶」づくり事業について
クリーンなかごしま茶づくり事業は、安全・安心な茶づくりの運動として、消費者に安全と安心、信頼を与えるため、鹿児島県茶業関係者全体で取り組んでいる運動です。

鹿児島はお茶づくりに恵まれた立地や自然環境と、茶業界の人たちによる取り組みによって、発展してきたんだね。